
最近、「人生100年時代」という言葉を耳にすることが本当に増えました。
昔に比べれば、長生きすることは珍しいことではありません。私たちの親世代を見ても、70代、80代になって元気に暮らしている人はたくさんいます。
一方で、少子高齢化や人口減少の話を聞くと、これから先の日本の暮らしはどうなっていくのだろう、と不安になることもあります。
高齢者が増える一方で、若い世代は減っていく。
介護を必要とする人が増えれば、それを支える側の負担も大きくなります。
こうした話を聞いていると、高齢化という言葉がどこか重たいものに感じられることもあります。
でも、よく考えてみれば、年を重ねることは誰にでも訪れるものです。
「高齢者が増える」という話を、社会全体の問題として考えるだけではなく、自分自身のこれからの暮らしとして考えてみる必要があるのではないでしょうか。
年を取ってからの暮らしを、今から考える
若い頃は、老後の生活について真剣に考える機会はそれほど多くありません。
仕事や子育てに追われているうちは、10年後、20年後の自分の生活を想像する余裕もないものです。
ところが、50代、60代になると、少しずつ身近な問題になってきます。
体力が落ちてきたと感じたり、健康診断の結果が気になったり、親の介護を経験したり。
そうした出来事をきっかけに、「自分が年を取ったら、どんなふうに暮らしたいだろう」と考えるようになります。
できれば、住み慣れた場所で暮らしたい。
できることは、なるべく自分で続けたい。
好きなことを楽しみながら、気の合う人たちともつながっていたい。
多くの人が望んでいるのは、案外こうした普通の暮らしなのではないでしょうか。
だからこそ、元気なうちから少しずつ準備しておくことが大切なのだと思います。
長生きするなら、元気に過ごせる時間を大切にしたい
長生きできることは、もちろん喜ばしいことです。
ただ、年齢を重ねるほど、「何歳まで生きるか」だけではなく、「どんな毎日を過ごすか」ということが気になってきます。
朝起きて、好きなものを食べる。
天気がよければ散歩に出かける。
昔から好きだった音楽を聴く。
友人とお茶を飲みながら、昔話をする。
そんな何気ない時間が、実はとても大切なのかもしれません。
健康のために少し体を動かしたり、食事に気をつけたりすることも必要です。
でも、健康だけを気にして毎日を過ごすのも少し寂しいものです。
好きなことを楽しみ、人と話し、笑う。
そうした時間も、これからの人生には欠かせないと思います。
「人に迷惑をかけたくない」という気持ち
日本では、「できるだけ人に迷惑をかけたくない」と考える人が多いように思います。
自分のことは自分でやりたい。
家族に心配をかけたくない。
誰かの世話になるくらいなら、できるだけ頑張りたい。
その気持ちはよく分かります。
けれど、年齢を重ねれば、どうしても一人では難しいことが出てきます。
買い物に行くのが大変になったり、病院へ行くことが負担になったり、家の中のちょっとしたことができなくなったりすることもあります。
そんなときまで、「迷惑をかけてはいけない」と一人で頑張り続ける必要はないのではないでしょうか。
助けてもらうことは、決して恥ずかしいことではありません。
できることは自分で続け、難しいことは誰かの力を借りる。
そのくらいの距離感で人とつながっているほうが、無理なく暮らしていけるように思います。
介護は家族だけで抱え込まない

親が高齢になれば、いつか介護について考える日が来るかもしれません。
実際に介護が始まると、想像していた以上に大変だったと感じる人もいるでしょう。
仕事をしながら親の世話をする。
自分の家庭を守りながら介護を続ける。
離れて暮らしている親のために、何度も実家へ通う。
家族だから支えたいと思っていても、家族だけでは難しいこともあります。
だからこそ、介護サービスなど、利用できるものは上手に利用したほうがいいと思います。
厚生労働省も、介護が必要になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられる社会を目指しています。
家族だけですべてを背負うのではなく、必要なところは専門家やサービスに頼る。
そのほうが、介護する側にも、介護を受ける側にも余裕が生まれます。
家族の役割は、すべての世話をすることだけではありません。
一緒に話をしたり、顔を見に行ったり、相手の気持ちを大切にしたりすることも、家族にしかできない大切な支え方だと思います。
これからは「支え合う」ことがもっと大切になる
これからの日本では、一人暮らしの高齢者も増えていくと考えられています。
家族が近くにいない人もいるでしょう。
だからこそ、家族だけではなく、地域のつながりも大切になってきます。
近所で顔を合わせたら挨拶をする。
たまには誰かと一緒に食事をする。
趣味の集まりに参加してみる。
困ったときには相談できる場所を知っておく。
一つひとつは小さなことですが、こうしたつながりがあるだけでも安心感は違います。
「支える側」と「支えられる側」をはっきり分けるのではなく、時には支え、時には支えてもらう。
そんな関係が、これからの日本にはますます必要になるのではないでしょうか。
厚生労働省も、誰もが役割や生きがいを持ち、互いに支えたり支えられたりする地域社会を目指しています。
年齢を重ねたからこそ、楽しめることもある
高齢化という言葉を聞くと、どうしても介護や病気、年金など、不安な話ばかりが思い浮かびます。
でも、人生の後半には、それまで頑張ってきたからこそ楽しめる時間もあります。
若い頃に好きだった音楽を、もう一度聴いてみる。
昔の写真を整理してみる。
行ってみたかった場所へ出かける。
新しい趣味を始めてみる。
何歳になっても、やってみたいことがあれば始めていい。
「もう年だから」と諦める必要はありません。
長い人生を生きてきたからこそ分かることもあります。
若い頃には何でもないと思っていた家族との時間や、友人との何気ない会話が、年齢を重ねるほど大切に感じられることもあります。
これから日本がどのように変わっていくのかは、誰にも分かりません。
人口が減り、高齢者が増えることで、今までとは違う問題も出てくるでしょう。
それでも、未来を不安に思うだけではなく、自分自身がどんなふうに暮らしていきたいのかを考えることはできます。
健康を大切にする。
家族と将来について話しておく。
困ったときに頼れる人や場所を知っておく。
そして、できるだけ人とのつながりを持っておく。
特別なことではありません。
毎日の小さな積み重ねが、これからの人生を支えることになるのだと思います。
長生きすることだけを目標にするのではなく、長くなった人生をどう楽しみ、どう人とつながりながら暮らしていくのか。
これからの日本を考えるとき、私たち一人ひとりが自分のこととして考えていくことが大切なのではないでしょうか。
そして、年を重ねても「今日も悪くない一日だった」と思える。
そんな毎日を、これからも大切にしていきたいものです。