
「年金だけでは、毎月の生活費が足りない」
「貯金を取り崩しているけれど、この先も続けられるか不安」
高齢になり、そんな悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
長年働いてきても、受け取れる年金額には個人差があります。家賃や食費、光熱費に加え、通院や介護にかかる費用まで重なると、年金だけで生活を続けることが難しくなる場合もあります。
そこで気になるのが、年金を受け取りながら生活保護を利用できるのかということです。
今回は、高齢者にとって身近な年金と生活保護の関係について、分かりやすく整理します。
年金をもらっていても生活保護を利用できる
結論からいうと、年金を受給していることだけを理由に、生活保護を利用できなくなるわけではありません。
生活保護では、年金も世帯の収入として扱われます。
そのうえで、年金などの収入や資産を活用しても、なお生活を維持することが難しい場合には、生活保護の対象となることがあります。
「年金をもらっているから、自分には関係ない」と考えてしまう必要はありません。
年金を受給している高齢者でも、生活に困っているのであれば、一度相談してみることが大切です。
年金がいくらなら生活保護を受けられる?
「年金が月○万円なら生活保護を受けられる」というような、全国一律の金額が決められているわけではありません。
生活保護では、世帯の人数や年齢、住んでいる地域、家賃などを踏まえて、世帯ごとの最低生活費が決められます。
その金額と世帯の収入を比べ、年金などの収入だけでは生活を維持できない場合に、その不足分について保護が行われる仕組みです。
たとえば、一人暮らしで年金を受け取っていても、家賃や食費、光熱費などを支払ったあとに生活に必要なお金が残らないことがあります。
一方で、同じ年金額でも、住んでいる地域や家賃、世帯の人数などによって状況は変わります。
そのため、年金額だけを見て「自分は対象外だ」と判断することはできません。
年金と生活保護費を両方もらえるの?
ここは誤解されやすいところです。
生活保護は、年金とは別に一定額が上乗せされる制度ではありません。
年金などの収入がある場合は、その収入を含めて生活に必要な最低生活費との関係を見ながら、保護費が決まります。
たとえば、世帯の最低生活費に対して年金収入だけでは足りない場合、その不足分が生活保護費として支給されるという考え方です。
そのため、年金を受け取っている人が生活保護を利用した場合、年金と生活保護費を合わせた収入が、その世帯に必要とされる生活費を基準に調整されます。
夫婦ともに年金を受け取っている場合は?
夫婦で暮らしている場合は、夫婦それぞれの年金を含めた世帯全体の収入が確認されます。
「自分の年金は少ないけれど、配偶者には年金がある」という場合も、夫婦それぞれの収入だけを別々に見るわけではありません。
家賃や生活費など、夫婦で暮らすために必要な費用と世帯全体の収入をもとに判断されます。
また、医療費や介護費などの負担が大きくなっている場合は、そのような事情も含めて生活状況を確認してもらうことができます。
年金が増えたら生活保護はどうなる?
生活保護を利用している間に、年金額が変わることもあります。
年金の改定によって受給額が増えたり、これまで受け取っていなかった年金を新たに受給することになったりするケースです。
このように収入に変化があった場合は、福祉事務所への報告が必要になります。
年金が増えたからといって、必ず生活保護がすぐに終了するとは限りません。
変更後の収入や生活状況などを確認したうえで、保護費が見直されることになります。
反対に、収入が減った場合なども、生活状況に変化があれば担当者に相談しましょう。
貯金が少なくなってからでは遅い?

年金だけでは生活が厳しくても、「もう少し貯金があるから大丈夫」と考えて、しばらく我慢してしまう人もいるかもしれません。
しかし、家賃や食費だけでなく、病院代や介護サービスの利用などで、思っていた以上にお金がかかることがあります。
貯金を取り崩す生活が続けば、将来への不安も大きくなります。
「このままでは生活が続かないかもしれない」と感じたら、できるだけ早めに福祉事務所へ相談してみましょう。
生活保護を利用できるかどうかは、年金額だけで決まるものではありません。
収入や資産、世帯の状況などを確認したうえで判断されます。
「自分には無理」と決めつけない
生活保護という言葉に、抵抗を感じる人もいるでしょう。
「今まで働いてきたのだから、自分で何とかしなければ」と考えてしまう人もいるかもしれません。
しかし、病気や加齢、収入の減少などによって生活が苦しくなることは、誰にでも起こり得ます。
制度を利用できるかどうかを自分だけで判断する必要はありません。
今の生活で何に困っているのかを整理して、福祉事務所に相談するところから始めてみてはいかがでしょうか。
まとめ
年金を受給しているからといって、生活保護を利用できないわけではありません。
年金は収入として扱われ、その金額を含めて、世帯の収入や資産、生活状況などが確認されます。
年金だけでは生活が難しい場合には、その不足分について生活保護による支援を受けられる可能性があります。
特に高齢者の場合、年金額だけでなく、家賃や医療費、介護費なども含めて現在の生活を考えることが大切です。
「年金だけでは毎月の生活が苦しい」と感じているなら、最初から対象外だと思い込まず、まずは福祉事務所に相談してみてください。
制度について知っておくことは、これからの生活を考えるうえでも大切なことです。
次回は、**「生活保護を受けていることは家族や周囲に知られる?プライバシーについて知っておきたいこと【第6回】」**について解説します。
※生活保護を利用できるかどうかや支給される金額は、世帯の収入・資産、年齢、居住地域、生活状況などによって異なります。詳しい内容については、お住まいの地域を担当する福祉事務所にご相談ください。