高齢ドライバーの免許更新、どうなる? 75歳から変わることと自主返納

年齢を重ねると、車の運転について考える機会が少しずつ増えてきます。

今まで何の問題もなく運転してきた人でも、「この先も同じように運転できるだろうか」と気になることがあるでしょう。

特に75歳を過ぎると、運転免許の更新時に必要になる手続きが変わってきます。

「高齢者講習って何をするの?」

「認知機能検査は難しいの?」

「運転をやめることにしたら、免許はどうすればいい?」

親の運転が気になってきた人にとっても、自分自身のこれからを考えている人にとっても、知っておいて損のないことばかりです。

70歳からは高齢者講習

運転免許の更新期間が満了する日に70歳以上になっている人は、更新の際に「高齢者講習」を受けることになっています。

講習では、運転についての講義だけでなく、運転適性検査や実際の車を使った指導も行われます。

長く運転していると、自分の運転のクセにはなかなか気づきません。

昔より視力が落ちていないか。

周囲を確認する動作が遅くなっていないか。

車庫入れや右左折で、以前より戸惑うことが増えていないか。

こうしたことを一度立ち止まって確認する機会が、高齢者講習だと考えると分かりやすいでしょう。

年齢だけで「運転ができない」と決めつけるためのものではありません。

今の自分の状態を知り、安全に運転するための確認の場です。

75歳になると認知機能検査も

75歳以上になると、免許更新の前に「認知機能検査」を受ける必要があります。

ここで少し誤解されやすいのが、「認知機能検査を受ける=認知症かどうかを診断される」というわけではないことです。

検査では、記憶力や時間の感覚など、運転に関係する認知機能の状態を確認します。

検査の結果だけで、すぐに免許が取り消されるわけでもありません。

結果によって必要な手続きが変わるため、まずは自分の状態を確認するためのものと考えておくといいでしょう。

年齢を重ねると、健康診断を受ける機会も増えていきます。

それと同じように、運転についても定期的に自分の状態を確認する。

そう考えれば、それほど身構える必要はないのかもしれません。

75歳以上で違反歴がある場合は運転技能検査

もう一つ、75歳以上の人が知っておきたいのが「運転技能検査」です。

75歳以上で、免許更新前の一定期間に、信号無視や速度超過、安全運転義務違反など、一定の違反歴がある場合は、この検査の対象になります。

対象者は、免許を更新するために運転技能検査に合格しなければなりません。

ここで大切なのは、75歳になった人全員が運転技能検査を受けるわけではないということです。

一定の違反歴がある人が対象になります。

年齢だけで一律に判断するのではなく、これまでの運転状況も含めて確認する仕組みになっています。

「75歳になったら、いきなり運転できなくなる」という制度ではないので、その点は知っておきたいところです。

運転を続けたい人には別の選択肢もある

「運転には少し不安がある。でも、車がないと困る」

そんな人もいるでしょう。

その場合の選択肢の一つが「サポートカー限定免許」です。

申請によって、安全運転支援機能を備えた対象車両に限って運転できる免許にすることができます。

運転を続けるか、免許を返納するか。

その二つだけではなく、その間にある選択肢として考えられる制度です。

もちろん、安全運転支援機能が付いていれば事故がなくなるというわけではありません。

装置にはできることとできないことがあり、運転する本人が周囲を確認しながら操作することが前提です。

それでも、「もう少し運転を続けたい」という人にとっては、検討する価値のある方法でしょう。

そろそろ運転をやめようと思ったら

一方で、「もう車に乗る必要はない」「運転するのが少し怖くなってきた」と感じるようになることもあります。

そうした場合には、運転免許証を自主返納することができます。

警察庁でも、運転する必要がなくなった人や、加齢による身体機能の低下などから運転に不安を感じるようになった高齢ドライバーに対して、自主返納の制度を案内しています。

ただし、返納した時点から車を運転することはできません。

だからこそ、返納するかどうかを考えるときは、「免許を返したらどうなるか」まで考えておきたいものです。

買い物はどうするのか。

病院へ行くときはどうするのか。

家族に毎回送ってもらうのか。

バスやタクシーを使えるのか。

こうしたことを先に整理しておけば、返納後の生活もイメージしやすくなります。

免許を返納した後の「運転経歴証明書」

免許を返納すると、本人確認のときに困るのではないかと思う人もいるかもしれません。

その場合に利用できるのが「運転経歴証明書」です。

自主返納した人などは、一定の条件を満たせば交付を受けることができます。

2012年4月1日以降に交付された運転経歴証明書は、運転免許証に代わる公的な本人確認書類として利用できます。

また、現在はマイナンバーカードに運転経歴情報を記録する「マイナ経歴証明書」という仕組みもあります。

免許を返納した後も、こうした証明書を利用できることは覚えておきたいところです。

迷ったときは一人で決めなくてもいい

運転を続けるかどうかで迷ったとき、本人だけで決める必要はありません。

家族と話してみるのもいいでしょう。

「最近、夜の運転が少し怖くなった」

「車庫入れに時間がかかるようになった」

そんな小さな変化でも、家族に話してみることで、これからのことを考えるきっかけになります。

警察には、高齢ドライバー本人や家族が運転について相談できる「安全運転相談窓口」もあります。

運転に不安を感じている場合だけでなく、家族から運転をやめるように言われて悩んでいる場合にも相談できます。

「まだ大丈夫」と無理をするのではなく、気になった時点で相談してみる。

それも一つの方法です。

これからの運転をどうするか

高齢になったからといって、すぐに運転をやめなければならないわけではありません。

安全に運転できるうちは、できるだけ長く車に乗りたいという人もいるでしょう。

反対に、自分の変化を感じて、早めに運転をやめる人もいます。

どちらが正しいというものでもありません。

大切なのは、自分の今の状態を知り、その時々に合った方法を選ぶことです。

運転を続けるなら、今まで以上に安全を意識する。

不安を感じるようになったら、運転する時間や距離を見直す。

必要ならサポートカー限定免許について調べてみる。

そして、車を手放すと決めたときには、返納後の生活まで準備しておく。

そうしておけば、免許を返すことも「できなくなったこと」ではなく、「これからの暮らし方を変えること」と考えられるかもしれません。

車に乗らなくなっても、買い物には行けます。

病院にも通えます。

友人に会うこともできます。

少し遠くへ出かける楽しみだって、なくなるわけではありません。

運転を続ける人も、やめる人も、それぞれの生活があります。

だからこそ、高齢ドライバーの問題を考えるときには、免許を更新できるかどうかだけでなく、その先をどう暮らしていくかまで考えておきたいものです。

「いつまで運転するか」だけではなく、「運転をやめた後、どんな暮らしをしたいか」。

そこまで考えておけば、いざというときにも、慌てずに自分に合った選択ができるのではないでしょうか。

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